17.お兄ちゃん気質のあの人

3/26
前へ
/703ページ
次へ
***  なんてことを考えながら歩いていたら。 「おはよう、花々里(かがり)。迷わず来れたとか感心じゃん。――……ってオイ! 無視かよ!」  いつの間にか寛道(ひろみち)との待ち合わせ場所にたどり着いていた――ばかりか通り過ぎてしまったみたいで、慌てた様子の寛道に腕を掴まれた。  途端、昨日頼綱(よりつな)に、寛道に掴まれた腕のアザに口付けられたのを思い出した私は 「ダメ!」  言って、慌てて寛道の手を振り解いた。  あまりに強く突っぱねてしまって、ハッとして寛道を見たら、ひどく傷付いた顔をされてしまった。 「……ごめん。でも、お願い。不用意に触るのは……やめて?」  寛道に謝って、彼の顔を見つめたら「分かった。その……こっちこそ悪かったな」って素直に謝り返してくれて。  私はホッと胸を撫で下ろす。 「あ、そういえば」  そこでふと容器(タッパー)のこと思い出した私は、カバンの中から綺麗に洗ったそれを取り出して寛道に手渡した。 「ごちそうさま。、大絶賛だったよ。おばさんにも『美味しかったです。ありがとうございました』って伝えてもらえる?」
/703ページ

最初のコメントを投稿しよう!

2677人が本棚に入れています
本棚に追加