22.わーん、ごめんなさいっ!

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*** 「花々里(かがり)、お願いがあるんだ」  まだ心臓がバクバク言って落ち着かない私に、頼綱(よりつな)強請(ねだ)るみたいに声のトーンをやわらげてくる。  彼の方を見られないまま、「おね、がい……?」とつぶやいたら、私の上から頼綱の身体が遠ざかって。  そのままは恥ずかしいとあんなに思っていたくせに、いざ頼綱の温もりが離れたと感じたら途端に後追いしたい衝動に駆られてしまう。  無意識に頼綱を見つめた私に、「シートに後ろ向きに膝立ちしてもらえるかな?」とか。  ん?  これ、今日午前中に鳥飼(とりかい)さんからも後部シートで言われたやつ?  ワンコの(さが)というべきか。  乞われるまま頼綱の指示に大人しく従いながら、彼が鰻屋(うなぎや)さんでもしきりに私の足を気にしていたことを思い出す。 「く、靴擦れなら絆創膏貼ってあるし大丈夫だよ?」  鰻屋さんで中途半端にしか言えなかった言葉を全て吐き出したら、聞いているのかいないのか。  無言のままに履いていたパンプスをそっと脱がされて。  (かかと)に頼綱の指先が触れたのが分かった。  鳥飼(とりかい)さんにそうされた時にはこんなに変な気持ちにはならなかったのに、触れているのが頼綱だと意識した途端、下腹部がキュン、と(うず)いて落ち着かない気持ちになる。  と、頼綱が「どんな風になってるか、見せてもらうからね?」って言って。  え?と思っているうちに絆創膏をペリリと剥がされてしまった。
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