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少し体液が滲んで患部に絆創膏が癒着してしまっていたのか、その瞬間ピリッとした痛みが走って、思わず「ひゃんっ!」って変な声が漏れた。
「ごめんね、痛かったかな?」
足をやんわりと撫でられて別の意味で声を上げそうになった私は、慌てて両手で口を塞いだ。
「花々里、悪いけど窓の方に手をつくように身体の向きを変えてくれるかね?」
確かに運転席側から私の足元を見るのは角度が悪いよね。
いつもなら「もういいでしょ?」と足を引っ込めていたと思う。
なのに今の私は頼綱にもっと触れられたい、とか思ったりもしていて――。
求められるまま、素直に身体の向きを変えたら、
「ああ、これは痛そうだね。水膨れが潰れてしまってる」
私の足に頼綱が顔を近づけているのが、見なくてもそこに吐息がかかることで感じられる。
「んっ、……!」
押さえていても小さくくぐもった声が漏れて、それが頼綱に聞こえていないことをただただ祈っていたら、存外あっさり足から手を離されて。
ガチャッとロックが解除される音がして、私は慌てて頼綱を振り返った。
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