2666人が本棚に入れています
本棚に追加
そんな折、いつの間にか出迎えてくださっていたらしい八千代さんに、背後からいきなり「お帰りなさいませ」と声を掛けられて、思わずビクッとなってしまった。
「お風呂の支度は出来ておりますので」
ひゃわわっ。
もしかして、頼綱に抱っこされてたの、見られたりしましたかっ!?
だとしたら、めちゃくちゃ恥ずかしい。
どう言い訳をしたら……と考えているうちに、八千代さんは私がここに初めて来た日のように、お風呂の始末は私に一任する旨を伝えて、
「それでは私は先にお休みさせていただきます」
と言ってから、どこか嬉しげに私と頼綱を交互に見つめて。
おもむろに
「頼綱坊っちゃま、ファイトでございます」
何故か頼綱にだけ謎の言葉を残してにっこり笑うと、頭を下げて自室に下がってしまう。
八千代さん、今のどういう意味ですか!?
ねぇ、頼綱には意味、分かったの?
今、貴方は何を応援されたのっ!?
八千代さんの言動に落ち着かない私だったけれど、頼綱は特に何も変化はなくて。
去っていく八千代さんの後ろ姿にお休みを言うなり、私の足元にチラリと視線を投げかけてきた。
最初のコメントを投稿しよう!