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「風呂上がりに新しい絆創膏を貼ってあげるからね」
優しい声音で猫撫でるように言われて、やたら恥ずかしくなった私が、
「じっ、自分で出来るよっ?」
慌てて言ったら、「鳥飼にはやらせたのに、僕にはさせたくない理由は?」と睨まれてしまった。
ひぃーっ! これ、絶対貼ってもらった方が良いやつ!
「ま、間違えました! あのっ、わたっ、私っ、ぶっ、不器用なので……やっぱりお願いしますっ」
手にしたままのパンプスを振り回しながら言って、あ、靴、シューズクロークに仕舞わないと!とか、現実逃避をしてしまったのは……仕方がないよね?
それに私、八千代さんに重要なことを聞きそびれてしまったのも気になってるのよ?
頼綱はあんなに敏感に甘い匂いを嗅ぎ取ったくせに、気にならないのかな?
それとも何が出来上がっているのか、経験値の差で知ってるとか……?
でも、だったら尚更。
私、声を大にして言いたいっ!
八千代さぁーん、家中に甘い匂いが満ち溢れてますけど、作ったお菓子は何ですかぁー!?
それ、私も食べられますか!?
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