22.わーん、ごめんなさいっ!

16/25
前へ
/703ページ
次へ
***  お風呂上がり。  今日はdocono(ドコノ)ショップや、鰻屋(うなぎや)さんに寄り道したせいで、帰るのがすっかり遅くなってしまった。  買ってもらったばかりのスマホに視線を落とすと、すでに23時を回っていて。  ――こんなに遅くに頼綱(よりつな)の部屋に行っても平気かな。  そう思ったけれど、お風呂のお湯に浸かった際、思わず「()っ」って声が漏れてしまう程度には靴擦れは痛んだし、明日学校に行くことを思えば絆創膏は必須アイテムだ。  自分で貼らないと誓ってしまった以上、頼綱の部屋に行くしかないわけで。  お風呂の始末をつけて、洋梨の輪切りの絵があちこちに散りばめられた、(ヒワ)色のお気に入りのパジャマに着替えて一旦自室に戻ると、姿見の前でクルクルと回ってみた。  美味しそうな洋梨の絵柄が入っていて、裾には女の子らしいフリル。  自分的にはめちゃくちゃ可愛いと思うのだけれど、頼綱の目にはどう映るのかしら?と少し気になって。  そういえばこのパジャマにはメンズバージョンもあったはずだ。  頼綱にもお揃いで着てもらったら、どう見えるかなんて関係なくなるかも!?  ふとそんなことを思って、ハッと我に返って恥ずかしくなった私は、鏡の前で1人苦笑する。  こんなこと、今まで思ったことないっ。やっぱり私、どうかしちゃったんだ。  頼綱はいつもシンプルな長袖長ズボンのルームウェアを着ているから、こんな柄物の……しかもハーフパンツとか嫌がられるに決まってるのに。  ちょっとそれを着た頼綱を想像してしまって、似合わなさ加減に吹き出しそうになった。
/703ページ

最初のコメントを投稿しよう!

2666人が本棚に入れています
本棚に追加