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「同じ家の中にいるんだからそりゃあ近くに決まっているよね?」
笑いながら至極当然な指摘をされて、「やはり迷子か……」とつぶやかれた私はぶわりと顔が熱くなる。
そんな私に、
「まさか庭にまでは出ていないだろうね?」
と頼綱が追い討ちを掛けるの。
「さっ、さすがにそこまでじゃないですっ。廊下にいますっ」
――どこかの。
小さく聞こえないように通話口を押さえて付け足したら、頼綱が少し考え込んでから、「一旦切って、もう1度鳴らすから。出ずにそのまま鳴らし続けておいて。いいね?」と提案してくれた。
どうやら、私の着信音を頼りに迎えにきてくれるみたい?
幸い位置的に八千代さんたちのお部屋の近くではない――気がする――ので、こんな夜更けに音が鳴っても大丈夫かな?と思う。
「はい」
と答えるとすぐ通話が切れて、宣言通り再度頼綱からの着信が入った。
無機質な電子音を聞きながら、スマホを手にしたまま落ち着かない気持ちで廊下に立ちんぼしていたら、
「花々里」
程なくして、頼綱がちゃんと私を見つけてくれた。
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