2666人が本棚に入れています
本棚に追加
ヤダッ! 私ったらいつもの癖でっ。
大変なことに気が付いた私は、頼綱を突き飛ばすようにして、慌ててベッドにうつ伏せに寝転がった。
「花々里?」
そのあまりの奇行ぶりに、頼綱が不思議に思ったのも無理はない。
でもお願いっ。
これ以上この件については追求してこないで下さいっ。
乙女の事情です!
思いながら足をジタバタして、「はっ、早く絆創膏をっ!」と陸揚げされた魚よろしくピチピチしながら手当てを急かす。
「変な子だ」
頼綱は吐息まじりにそうつぶやくと、それでも私の希望を聞いて、足の下にタオルを敷いてくれた。
「少し冷たいけど我慢して」
足をやんわりと掴まれて、その大きな手の感触にやたらとドキドキしてしまう。
うつ伏せになっているから頼綱の顔を見なくていいのは良かったけれど、見えない分、触覚がやたらと敏感になって。
おまけに布団から頼綱の香りがしてくるから、堪らなく彼のことを意識してしまうの。
冷たい薬液を患部に垂らされた時も、傷口付近の水分を優しく拭き取られた時も。
頼綱の吐息や手の温もりが、いつも以上に鋭敏に感じ取れてしまって、めちゃくちゃ困惑させられた。
鳥飼さんの時にもドキドキしたけれど、頼綱へのそれは比べものにならないくらい大きくて驚く。
最初のコメントを投稿しよう!