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「はい、済んだよ」
絆創膏を両足に貼られた頃にはガチガチに固まっていた身体を起こすのに少し手こずってしまった。
「ありがとうございましたっ。ではそういうことで――」
胸元で不自然に両手を組んで、即座にトンズラしようとしたら、「話があるって言ったよね?」ってベッドに押し止められて。
あーん、今の私、非常によろしくないのにっ。
一旦お部屋に戻って体制を立て直してから出直したんじゃダメですかっ?
そんな気持ちを込めて頼綱を見上げたら「逃がさないよ?」って顔に書いてあって。
私は仕方なく打開案を提示する。
「あ、あの……。さっ、寒いからお布団にくるまってお話聞いてもいい?」
初夏に寒いとかバカなことを言っているのは百も承知です。
でも、どうか今だけは見逃してください、お願いしますっ。
恐る恐る頼綱を見上げる私に、彼は一瞬驚いた顔をしてから、「どうぞ」と言ってくれた。
私はお言葉に甘えて頼綱の香りがするドキドキの毛布をゆるゆると身体に巻きつけて、ソワソワしながらもホッとする。
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