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「結婚するんだ。当然だろう」
言われて、私、慌てて「お受けするとか一言もっ!」って返したの。
そうしたら、「誓いのキスはうなぎ屋で済ませたぞ?」とか澄ました顔で返してきて。
あのうなぎ味の接吻ってそうだったの!?と思わず生唾を飲みこんだのも当然よね?
あんまりのことに〝キス〟が、日本家屋に相応しく、脳内変換で〝接吻〟に置き換わってしまったくらいの衝撃よ!?
そりゃあ、思考が混線してうなぎ、美味しかったなぁ〜とか変なことまで思い出しちゃうって!
うなぎの味に思いを馳せた途端、意識がうな重に囚われそうになって、慌てて首を横に振る。
いや、でもあれ、そう言う感じでのキスじゃなかったはずよね?
私の、自分を卑下したような発言に腹を立てて……。そう! いわゆる腹いせキスじゃない!
そもそも飴で上書きしないといけなかった?ような口付けよ?
それにしても――。
うなぎ、という単語で条件反射的にヨダレが出てきちゃうとか……! 私ってばパブロフの犬みたいだなって嫌になる。
うなぎ屋に連れて行かれる前に御神本さんから子犬に例えられて、頭を撫でられまくったのを思い出した私は、何故かドキドキして焦ったの。
わ、私、犬じゃないしっ。こんな意味不明な男をご主人様と定めてときめく……じゃなくてっ! な、懐くなんてあり得ないんだからねっ!?
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