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「そんなにくるまらなきゃいけないほど寒いのかね? まさか……悪寒がしてるとかじゃないよね?」
その様を見て、頼綱が心配そうに眉根を寄せておでこに触れてこようとする。
私は慌ててのけぞって、布団にくるまったまま、またしてもベッドに倒れ込んでしまった。
ただし、今度は仰向けに――。
「花々里、キミはさっきから何をしているの?」
途端頼綱にクスクス笑われてしまって、私はぷうっと唇をとがらせた。
「そんなに笑わなくてもいいじゃない」
小さく文句を言いながら起きあがろうとして、巻きつけた布団のせいで手が出せなくてモタモタしてしまう。
きっと今の私、さながらベッドに転がったイモ虫だ。
と――。
「ひゃあっ」
結局見かねた頼綱にぐるぐる巻きのまま抱き上げられてしまった私は、そのまま彼の膝の上に横抱きに抱き抱えられてしまう。
「あ、あのっ」
手も足も出ないとはまさに今の私の状態を言うんだと思う。
これ、簀巻きにされた感じになってますよね?
布団にガッチリと両腕をホールドされて、さっき自分で巻きつけた時はここまでじゃ無かったのに、と思いながら頼綱を見上げたら、意味深に瞳を細められた。
「さて、では早速これについて説明してもらおうかな」
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