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そこまで言って、私を無言で見下ろしている頼綱をじっと見上げると、
「でも……そんなこと思ってる時点でもう手遅れなの。私、頼綱のことがどうしようもなく……」
〝好き〟だと言いかけて。でも言えなくて……。
「き、気になってるっ」
と告げた。
素直な女の子なら、ここで「貴方のことがどうしようもなく好きなのっ」と可愛らしく言えるんだろうけれど、恋愛偏差値が低い上に色々こじらせてしまっている私にはこれが精一杯。
もちろん、先の会話との流れで完璧に「好き」だと告白しているも同然なのは分かってる。
でも。
それでも尚、言えない言葉が胸の内に降り積もって。
だけど……頼綱には、それだけで充分だったみたい。
「花々里……っ」
毛布ごと包み込むように私を抱きしめると、そのままベッドに押し倒してきた。
頼綱の腕の中に閉じ込められた体勢で、簀巻きのままベッドから彼を見上げたら、頼綱が私の上にそっと覆い被さってきて――。
「俺は……今のキミからの言葉を自分に都合の良いように解釈するけど、――構わないか?」
鼻先に吐息が掠めるくらいの至近距離で低く甘く問い掛けられる。
私は――。
頷く代わりにそっとまぶたを閉じた。
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