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それを見て、私は頼綱に目を逸らされたばかりの自分の胸元を見て――。
「――っ!」
薄手のパジャマの布地をしっかり持ち上げるように、胸のところに2箇所、ツン!……と存在を誇示するように立ち上がっているものが目に入って、思わず声にならない悲鳴を上げた。
そのままギュッと胸元を両手で隠してその場にしゃがみ込んだら、頼綱がふわりと身体に毛布をかけてくれる。
今まで包まっていたそれを身体にもう1度きつく巻きつけると、私はしゃがみ込んだまま恐る恐る頼綱を見上げた。
頼綱は、未だに私の方へ背中を向けたまま立っていて。
それだけならまだしも「――その……、すまない。ふ、不可抗力とはいえ、キミに恥ずかしい思いをさせてしまった」とか……。
何で貴方が謝るの!?
「こっ、こちらこそ……そのっ、ごめんなさいっ! 私、いつも寝る時はブラ、つけてなくて……。それでっ」
今日はお風呂上がり、頼綱の部屋に呼ばれていたにも関わらず、ついいつもの癖で下着をつけずに出向いて来てしまった。
すぐに気が付いて、それ以来ずっと毛布に丸まっていたはずなのに、他のことに気を取られているうちにすっかり忘れて油断してしまった――。
「よ、頼綱はちっとも悪く……ない、です。――だから……あのっ。お願い、こっち見て?」
私、もう、毛布を巻きつけているし、大丈夫だよ?
言うのに全然こっちを向いてくれない頼綱に、段々焦燥感が募って。
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