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「研修中の身とはいえ、俺は一応医者だからね。多分普通の人よりは沢山女性の身体に接する機会があったと思う」
さっき、私が思ったことを頼綱自身に告げられて、私は居た堪れない気持ちになった。
だからっ、私の身体はそんな目の肥えた頼綱には余りにもお粗末で申し訳なく思っているのっ。
お願いだから……隠させて?
別に直接肌を見られているわけじゃない。
けれど、ツンと張り詰めた先端の形状がありありと浮き上がった胸元を見られるのは、何故だか裸を見られるよりも恥ずかしく思えて。
ギュッと目をつぶって頼綱からの視線を視界から遮断したら、すぐ耳元に頼綱の唇が寄せられた。
「――だけどね、花々里。俺が心の底から〝見たい、触れたい〟と思うのは、キミの身体だけだよ?」
意図したわけではないと思うけれど、頼綱が一音一音発するたびに耳孔を彼の呼気がくすぐって。
「――んっ」
思わず小さく吐息が漏れた。
「花々里の気持ちの整理がつくまで、俺はキミに触れるつもりはない。だから――」
さっきは込み上げる性衝動を抑えたくて、慌てて顔を背けたのだと頼綱が言って。
そのことに小さく「分かった、から……っ」と返しながら、ふと不安になる。
じゃあ、今は大丈夫なの?と。
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