24.もしかして、という懸念

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 自分のことを〝男として〟見てくれるかどうか問いかけるだけで、あんなに緊張するとか。  俺は実際自分のことをそれほどスペックの低い男だとは思っていない。  同年代の他の奴らに比べたら財力だってある方だと思うし、顔だってそこそこに整っていると自負している。  子供の頃から異性にちやほやされてきたのも否めないし、何より長じてからも取っ付き難い雰囲気だと自認しているいもかかわらず、そこそこにモテてきた。  だけど不思議とどんな女性たちのことも〝遊ぶ相手として〟見ることはあっても、〝本気にだけは〟ならなかったんだ。  何て言うのかな。  一緒に食事をしても楽しくない相手には、余り興味を惹かれないというか。  それが、だ。  花々里(かがり)だけは……あの子だけは違ったから。  いや、そう感じた原因は多分俺自身にあるんだろうな。  きっと、俺が無意識に、幼い頃〝餌付けをしていた女の子〟を求めていただけに違いない。  あの子は幼い頃から本当に嬉しそうに俺が食べる子だったから。  俺に媚びたいがための、お為ごかしの笑顔や賛辞ではなく、ただ純粋に俺が与えた〝食べ物〟に反応して喜んでくれたのは、俺が知る限りでは花々里の他にはいなかったんだ。  長じてからも、花々里のそういうスタンスは一切変わっていなくて。
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