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余談だけど、私、桃味の飴の方が好き!
酸味も少ないし、何より香りがいいもの。
そう思って、口の中がすっかり桃飴気分になっていたんだけど。
「すまん。飴はどちらも車に置いてきてしまった」
と言われてガッカリ。
あからさまに意気消沈した私に、御神本さんが「代わりと言っては何だが、山陰の方の知り合いから清水羊羹の美味いのが届いていてね。――それなんかどうだね?」
と提案してきて。
「私、端っこに砂糖が粉をふくような羊羹が大好きなんですけどっ」
「羊羹」と言う単語に、思わず勢い込んで御神本さんを見上げて好みを告げたら、「保証しよう」とにっこりされた。
どうしよう。私、美味しいものをあげると言ってくる時の、彼の笑顔が好きかも知れません。
***
食べるなら中へどうぞと背中を押されて、私、さっき外から見て凄いっ!って感心しまくった日本家屋の一室――多分客間?にいます。
あれ? ちょっと待って? 何、まんまとそそのかされて家に連れ込まれてるの、私っ。
美味しい羊羹をいただいたら、着替えとか勉強道具とかないので……って適当なことを言ってさっさとトンズラ……じゃなくてお暇しよう。
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