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とりあえず、花々里は幼なじみくんのことにカタを付けるまでは待って欲しいと思っているみたいだから。
そこはまぁ、待ってやるつもりだ。
あの彼だって相当花々里に傾倒していることを思えば、不穏分子はひとつでも潰しておいた方がいい。
それは俺も大事なことだとは分かっているつもりなんだけどね……。正直その時間ですらも惜しいと思ってしまうのは、まぁ致し方ないよね。
花々里の気持ちは極力尊重してやりたいと思うのと同じくらい、俺が焦っていることも理解して欲しい。
あー、クソッ!
花々里は幼い頃、あんなに餌付けしたにも関わらず俺のことなんて覚えていないというのに……その〝お兄さん〟とやらは、どうやってあの子の記憶に分け入ったんだ!?
考えただけで腑が煮え繰り返りそうなんだけど……今の俺にできることは、その男の影をあの子の中から消すくらいに俺に惚れさせることくらいしかない。
花々里が大好きな鰻を毎日食わせてやったら少しは形勢が逆転するだろうか?
いっそのこと、庭の池の錦鯉を鰻と取り替えてしまおうか。
庭木はもちろん、庭全体の景観を管理している植木職人の源治さんには渋い顔をされてしまうかもしれないけれど、俺は花々里が喜ぶなら何だって厭わないよ?
彼の奥さんの八千代さんは何だかんだ言っても俺には激甘だから、きっと苦笑しながらも鰻を捌いてくれるよね?
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