25.離さない

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 あんなに眠れないと思っていたのに、自室に戻って頼綱(よりつな)の毛布を抱きしめてゴロゴロしているうちに、いつの間にか眠ってしまったみたい。  毛布、返す前に洗ったほうがいいよね。  私のことだからヨダレとか垂らしてるかもしれないし。  ぼんやりとした頭でそんなことを考えて、再度毛布を抱きしめたら頼綱の香りがふんわり漂って、愛しさと恥ずかしさにひゃーひゃーなった。  毛布を持ったままコロコロと布団の上で回転した途端、ズキンと頭部が疼いて、「これ完璧に寝不足だ」と溜め息を落とす。  そうこうしていたら、控えめにドアをノックする音が聞こえてきて。  ついで「花々里(かがり)さん、八千代でございます」という気遣わしげな声音がかかる。  私はその声にハッとして飛び起きた。  うっ。頭痛い――。
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