25.離さない

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「八千代さんは俺にとっては母親みたいな存在の人だからね。真っ先に伝えたいと思うのは至極当然だと思わないか?」  だからって昨夜の今朝で、私に何の断りもなく話しちゃうとか……。どう考えても反則だと思うの!  何だか知らないうちに、どんどん外堀を埋められていくようでちょっぴり怖い。  もちろん、私だって昨夜頼綱(よりつな)からの申し出を受け入れた気持ちに嘘はない。  だけど……全く不安がないかと言われたらそうじゃないから。  もう少しゆっくり進んでいきたかったのに。  頼綱は何をそんなに焦っているの?  あれこれ抗議したかったのだけれど、八千代さんがとても嬉しそうににっこりなさって、 「(わたくし)花々里(かがり)さんのことを若奥様と正式にお呼び出来る日を、楽しみにしていたのでございますよ?」  言うなりお弁当を手にしたままの手ごと、私の手をギュッと力強く握り締めていらした。  何だかここまで喜ばれていると知っては、さすがに何も言えないよぅ。  それにしても、「随分と長いこと」って。  私、まだ頼綱に出会ってそんなに日数経ってないのに、いくら何でも大袈裟ですよ、八千代さん!  そう思ったのだけれど、何故か頼綱はそれには何も指摘するつもりはないみたいで。  何となく私も言いそびれてしまう。
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