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「八千代さんは俺にとっては母親みたいな存在の人だからね。真っ先に伝えたいと思うのは至極当然だと思わないか?」
だからって昨夜の今朝で、私に何の断りもなく話しちゃうとか……。どう考えても反則だと思うの!
何だか知らないうちに、どんどん外堀を埋められていくようでちょっぴり怖い。
もちろん、私だって昨夜頼綱からの申し出を受け入れた気持ちに嘘はない。
だけど……全く不安がないかと言われたらそうじゃないから。
もう少しゆっくり進んでいきたかったのに。
頼綱は何をそんなに焦っているの?
あれこれ抗議したかったのだけれど、八千代さんがとても嬉しそうににっこりなさって、
「私、花々里さんのことを若奥様と正式にお呼び出来る日を、随分と長いこと楽しみにしていたのでございますよ?」
言うなりお弁当を手にしたままの手ごと、私の手をギュッと力強く握り締めていらした。
何だかここまで喜ばれていると知っては、さすがに何も言えないよぅ。
それにしても、「随分と長いこと」って。
私、まだ頼綱に出会ってそんなに日数経ってないのに、いくら何でも大袈裟ですよ、八千代さん!
そう思ったのだけれど、何故か頼綱はそれには何も指摘するつもりはないみたいで。
何となく私も言いそびれてしまう。
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