25.離さない

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 私は、その声にハッとして頼綱(よりつな)を見る。  けれど、その時には頼綱、すでに運転席に戻ってハンドルを握った後で、わざとらしいくらいにこちらを見ようとしないの。 「花々里(かがり)。急がないと遅刻してしまうよ?」  そればかりか、前方を見据えたまま私に早く後ろへ移るよう急かしてきて。  頼綱はきっと、私に寛道(ひろみち)とちゃんと話をしろって言いたいんだろうな。  私はその声に押されるように、一旦車外へ出ると、意を決して後部座席のドアを開けた。
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