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あの拒絶は、それを根底から覆すものに思えたから。
だから私、すごく不安になってあの場を逃げ出したの。
寛道の怒りの理由を聞いてしまったら、今までの関係ではいられなくなる。
直感的にそう思ったのだけれど。
でも、それを明らかにしないままじゃ、私は頼綱と幸せになることは出来ない。
「あれは――。お前が俺のやったモン、人に……っていうかそこのオッサンに食わしたって言うから」
そこまで言ってバツが悪そうに頼綱を気にする寛道に、私はキョトンとする。
「それって……そんなに重大なことだった?」
恐る恐る聞いたら、
「花々里を繋ぎ止めるためにゃ食いもん与えるのが一番効果的だと思ってたのに……それが通用しないって突きつけられたんだぞ? ショックじゃないわけねぇだろ。それに――」
そこでハンドルを握る頼綱をキッと睨みつけてから、
「お、俺だってお前から食いもんもらったことなんてねぇのに。ずりぃーだろ」
一緒に住んでるってだけでも遅れをとっていて焦るのに、とぶつくさ言う寛道に、私はやっぱり彼は私のことが好きだったりするのかな?ってソワソワして。
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