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「花々里は本当に幸せそうにものを食べるね」
もったいないので黒文字で小さく切った一欠片をみみっちく口に入れる。小豆のいい香りが鼻に抜けて、本当に幸せな気分っ♪
美味しーい♥
目をつぶって舌の上に広がる上品な甘みを堪能していたら、不意にそんなことを言われて、思わず口の中の貴重な羊羹をゴクッと飲み込んでしまった。
もぉ!
いきなり話しかけないでよぉー!
そもそも、目の前の美味しい羊羹の提供者は誰なのか、と言うことも忘れてキッ!と御神本さんを睨みつけたら、クスッと笑われた。
「そんなに気に入ったなら俺のもあげよう」
言われて、私は一気に表情が緩む。
「ホントですかっ!?」
思わず勢いこんで前のめりになる。そのまま机に手をついて膝立ちしたら、座卓を揺らしてしまった。
その振動で湯呑みに付随していたふたが傾いて、そばの茶器にあたってかちゃりと音を立てた。
その音に私はヒヤリとする。
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