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「頼綱って……食べるの大好きなんだと思ってました」
私に色んな珍しい食べ物の話をしてくれる時、頼綱はすごく生き生きしている。
私、自分が知らない食べ物を沢山知っていて、その上私が興味を示したものは何とかして食べさせてくれようとする頼綱の姿勢にほだされた部分が大きいと思うの。
ううん。きっとそれだけじゃなくて。
頼綱と一緒に食べた彼行きつけのお店のうな重も、端っこにお砂糖チャリチャリの美味しい羊羹も、『あまみや』の天ぷらも、毎日一緒に囲むこの家での手料理も、そう、何なら市販の飴ちゃんですら食べたことのないものみたいにすっごく美味しかった!
それはきっと頼綱と一緒だったからだ。
ふとそんなアレコレを思い出して無意識にニンマリしていたら、
「ふふふ。それはおそらく花々里さんとご飯を召し上がられるのがお好きなんだと思いますよ? 頼綱坊っちゃまにとって、一番の調味料は花々里さんでございますから」
そう言って八千代さん微笑まれて、恥ずかしさにぶわりと頬が熱くなったのを感じた。
やーん、やめてください、八千代さんっ。それ、何だか食事のたびに私、頼綱に食べられてるみたいで照れ臭いですっ。
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