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「ですので――」
そこでギュッと手を握られて、「今日は早く寝床に戻られて、夕飯の時は元気に沢山召し上がられてくださいね?」と布団に戻るよう念押しされてしまう。
「ひいては、それが坊っちゃまにとって一番のご馳走になるのですから」
と重ねるようにもう1度付け加えられて、私は真っ赤になってうつむいた。
ここにいたら、照れ臭さで〝知恵熱〟が出てしまいそう。
そう思った私は、「……はい」と蚊の鳴くような小声で言いながら、台所の入り口まですごすごと引き下がった。
そこまできて、「あ、そういえば」と思い出して立ち止まる。
「あ、あのっ」
言いさして再度八千代さんの方を振り返ってから、
「八千代さんのお手製キャラメル、すっごくすっごく美味しかったです! ――その、また今度作り方を教えてください」
そう言ってペコリと頭を下げると、今度こそ自室に向かって踏み出した。
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