26.この味、覚えてる!

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***  八千代さんお手製のキャラメルを2人で半分こして3つずつに分けた。  頼綱(よりつな)は1個目を、私は最後の1個を口に含んだ状態で私のベッドに隣り合って座っている。 「で、花々里(かがり)は……俺がキミの前から姿を消した理由が知りたいの?」  頼綱(よりつな)が、残った2個のキャラメルを私の太ももの上にそっと置きながらそうつぶやいて、私の横顔をじっと見つめてくる。  私は足の上に置かれたキャラメルが気になって仕方がないの。  頼綱の言葉にコクッとうなずきながら、(うかが)うように彼の方を見つめたら、「花々里(かがり)が食べていいよ」って言ってくれた。  頼綱ってば、本当にいい男!  も、もちろん頼綱の魅力はそこだけじゃないんだけど、ほら、太古の昔から女の子に食べ物を沢山持ち帰れる殿方は優秀なオスって見做(みな)されていたじゃない?  その論法でいくと、頼綱はきっと最高にモテモテの英雄なの。  そこまで考えて、そんな頼綱が私を選んでくれる理由がやっぱり分からなくて不安になって。  頼綱のことを伴侶として最高の相手だと認識すればするほど、私はまた捨てられてしまった時を思って怖くなるの。
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