2664人が本棚に入れています
本棚に追加
/703ページ
いくら母の知り合いだと言っても、たかだか昔、自分の実家の病院に勤めていただけの、言ってしまえばただの1職員……。
それも、本人ではなくその娘にここまでしてくださるのって、普通じゃ有り得ないよね?
それとも、お金持ちってそんなものなの?
ふとそう思ったけれど、そんなことはないと思うの。
全てのお金持ちが御神本さんみたいに行動したら、世の中は善意に満ち溢れていると思うもの。
「バカなことじゃないと思います!」
御神本さんの割り当て分の羊羹もいただけたことで、少し気が大きくなった私は、ちまちまと削るように食べていた自分の器から、かなり大きめに切り分けた一欠片を口に入れながらキッパリと言い切った。
ああーん。
やっぱり大きな欠片の方が、風味も味も強くて美味しいっ♥
真面目な話をしているはずなのに、口元がゆるゆると綻んでしまって、まるで惚気話でもしているみたいな雰囲気になってしまう。
ダメダメ、花々里!
口元に力、入れないと!
そんな私を見つめる御神本さんの表情がやたら優しいのも、いつもはもう少し冷静なはず?の私の調子を狂わせるの。
最初のコメントを投稿しよう!