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グッと言葉に詰まった私にまるで言い訳でもするように
「もちろん、今のままの花々里だって十分魅力的だし……正直今すぐにでも食べてしまいたいくらいだけどね」
頼綱が言って、至極熱っぽい目で見つめられた私は、「ソレ、違う意味の〝食べる〟になってませんか?」とドキドキする。
私が言った「食べる」はそれこそ山姥なんかが、「丸々と肥えた美味そうな小娘じゃ。ヒッヒッヒッ」って言ってるアレと同等の意味だったのに……。
「頼綱の……エッチ」
思わず口に出してしまって、慌てて口を押さえたら、クスッと笑われてしまった。
「名実ともにキミを俺のモノに出来たら……そのときはそういうエッチな部分も含めて、俺のことを愛して欲しいんだがね? 花々里はいやらしい男は嫌いかい?」
艶っぽく見つめられて、私は心臓がトクンッと跳ねた。
「……頼綱だから……嫌いにはなれない、し……す、好きな人にそう言う目で見られて嬉しくない女の子は……その……い、いないと思う。……け、けどね、私……そういうの……ものすごーく疎い、よ?」
照れ隠しに言ったら、「年上としてしっかりリードさせてもらうと誓おう」ってテーブル越し、身を乗り出した頼綱に、額へキスを落とされた。
「ひゃ、ぁっ」
いきなりの事に慌ててのけぞったのと、「失礼いたします」と八千代さんがご自身の紅茶とロールケーキを載せたトレイを手に戻っていらしたのとがほぼ同時で。
「おや、どうやら私、タイミングが悪うございましたね」
と八千代さんにこやかに微笑まれて、「め、め、め、め、……めっそうもござりませぬ!」と訳のわからない言葉を発して、私、ワタワタと慌てふためいた。
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