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ん〜。甘くて美味しっ♪
現状を束の間忘れてニンマリしていたら、八千代さんからの視線を感じてハッとする。
あ、えっと、なんだっけ。
そうそう。私はそれでいいのか?でしたよね。
八千代さんったら、こんな私に対しての遠慮が邪魔をしているだなんて、何てご主人様に忠実な人なんだろう。
私なんかよりよっぽど忠犬じゃないですかぁ〜!と思いつつ。「もちろんです」ってにっこり笑って太鼓判を押した。
先にロールケーキを食べさせてもらったから。私、超絶ご機嫌ですっ!
そもそも頼綱の話を聞いたら、頼綱が八千代さんに育てられた、というのは痛いほど伝わってきたし……八千代さんの頼綱への接し方を見ていても、使用人として以上の情愛を感じるもの。
もちろんそれは頼綱の、八千代さんへの接し方にしてもそうで。
だから私も、心の底からそれが1番いいと思えたの。
っていうか、これに関しては、正直私がつべこべ言えた立場じゃないとすら思ったくらい。
「分かりました。では頼綱坊っちゃま、花々里さん。福田八千代、おふたりの婚姻届の証人欄の件、謹んでお受けいたします」
八千代さんがやっと承服してくださって、私はホッと胸を撫で下ろして2人の顔を交互に見回した。
そうして満を持して言ったの。
「とりあえず、紅茶が冷めないうちにケーキ、食べちゃいません?」
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