27.不安だから付けさせて?

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***  週末は予定通り頼綱(よりつな)とともにお母さんのお見舞いへ――。  病室に入ると、お母さんは今まさにリハビリから戻ったばかりだったみたいで、イケメン作業療法士(スタッフ)さんに付き添われてベッドに腰掛けている最中だった。  来月には退院予定だけれど、退院後もしばらくはリハビリには通うようになるみたい。  そう説明をして、私たちに軽く会釈(えしゃく)をしてスタッフさんが部屋を後にしたのを見計らって、 「村陰(むらかげ)さん、ご無沙汰しています」 「お母さん、イケメンスタッフさんに抱っこされちゃうとか、めっちゃ緊張したんじゃないっ!?」  頼綱と私、ほぼ同時に――だけど全く違う内容の言葉をお母さんに投げかけた。  私のセリフを聞いた途端、頼綱が不機嫌そうに「イケメン?」とつぶやいて、私は「ひっ」って声を上げて思わず頼綱の横から飛びのいた。  それを見たお母さんが堪えきれないみたいにクスクス笑って。  その、血色のよい顔を見て、私は心底ホッとする。  お母さんはすこぶる元気そうで、入院したばかりの頃はどうなることかと思ったけれど、近頃はベッドから起き上がっている時間も増えてきたらしい。 「花々里(かがり)ちゃん。元気そうでお母さんホッとしたわぁ〜」  そこまで言って、私をじっと見つめると、 「――あら、少しふっくらしたんじゃない?」  ひとしきり笑い終えてから、お母さんってばグサッとくることを言ってきた。
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