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「……ふっ!?」
あーん。言わないでっ。私だって気にしてるのにぃ〜!
私を凍りつかせておいて、全然悪びれた様子もなくにこやかに私の背後の頼綱に視線を転じると、お母さんは何事もなかったみたいに
「頼綱くん、うちの娘を愛情いっぱいに面倒を見てくれてるみたいで本当に嬉しいわ。有難う!」
って言うの。
お母さん、その愛情いっぱいの賜物がこの、ふくふくな娘ですよ!?
私の声にならない言葉なんてどこ吹く風。
それに対して頼綱が嬉しそうにうなずきながらニコッと微笑んで、「俺の愛情は村陰さんにも向いてますよ。これ、例のやつです」ってまるで賄賂でも渡す悪代官みたいに城山ロールの入った箱を差し出すの。
ちょっと、頼綱! 今の、愛情が二分されてるみたいな言葉、何だかムカッときたんですけど、さっきの「イケメン」へのリベンジだったりします?
そう聞きたいのに、お母さんの
「まぁ!」
という心底嬉しそうな声音と、みるみるうちに幸せそうに染まる薔薇色のほっぺに、頼綱にツッコミそびれてしまった。
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