28.初めての気持ち

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 何だかよく分からないけど凄く嫌!って言うのは分かって。  だから私、頼綱(よりつな)にはこういうところでこんなことをするの、もう少しペースダウンしていただけたら有難いな、と思ったりするのです。  ――そう、せめて人前でだけでもいいから目立たないよう大人しくしていて欲しい。  そうすればきっと、こんな目で貴方のこと、他の女性が見つめること、なくなるから。  そこまで考えて、  ――ん? ちょっと待って。何……それ。  って自分の気持ちにソワソワする。  頼綱は、控え目に言っても頭脳明晰(めいせき)容姿端麗(たんれい)。  別に職業(ステータス)が明記された札をつけて歩いているわけじゃないからパッと見には分かんないけれど、お医者様の卵――産婦人科医を目指していると言うのはマイナスポイントかもしれないけれど――で、ご実家が結構な資産家のご様子。  オマケにこんなモテそうな容姿のくせに、この子と決めた女の子以外には目もくれず、胃もたれしちゃいそうなくらいの甘々溺愛(できあい)モード。  私はそう言うのをすっ飛ばして頼綱が美味しいものを食べさせてくれるところにほだされたのだけれど、一般的な女性ならきっと、目がハートになっちゃうところが多々ある有料物件なんだと思う。  そんな頼綱だから。  今までは私、気づけなかったけれど、今日婚約者として彼の横に並んでいて、めちゃくちゃ自覚させられたの。  ――頼綱は、かなり女性の目を引く容姿をしているみたいです!
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