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ズルイよ、頼綱。
そんな表情されたら私、これ以上怒れないじゃない。
「――頼綱のこと好きって。……私、ちゃんと伝えたもん。バカ」
それでも何とか頼綱から視線をそらしてそれだけは言ってやった。
その言葉に、頼綱は「そうだね、言ってくれたね。だけど……何度聞かされても俺はすぐに不安になるんだ。――僕はね、花々里。キミが思う以上に嫉妬深いんだよ?」って私の頭をそっと撫でてくれて。
私は頼綱のその言葉に、彼がずっと私がさっき感じたみたいなモヤモヤを心に抱えているのかな?って思ったら、あんなしんどいの、どうにかしてあげなきゃって思ってしまった。
「あのっ、どうやったら……頼綱のモヤモヤ、減らせる?」
気が付いたら私、頼綱を見上げてそう問いかけていた。
頼綱は一瞬瞳を見開くと、小さく吐息をついて、「今からひとつ、試してみたいことがあるんだけど……いいかな?」って淡く微笑むの。
「試してみたい、こと?」
頼綱のことだから変なことを言い出すんじゃないかと思って思わず身構えたら、くすくす笑われてしまう。
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