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今日もナビの言う通りに歩いて、ちゃんと家に帰り着いた私は、八千代さんに帰宅の挨拶をしたついで、手が空いたら部屋に来ていただきたい旨を告げて、自室でファッションショーを開始する。
時節は、じきに夏休みに入ろうかという頃。
頼綱とは夕方からのお出かけだから、日中ほど日差しは強くはないだろう。
――けど、それでも着るならサラリとした肌触りの半袖がいい。
そう思った私は、クローゼットの中から淡い生成りのシャツワンピースを取り出して、石鹸の香りがする汗拭きシートで丁寧に拭ったサラサラの肌に合わせてみた。
本当はシャワーを浴びられたら嬉しいんだけど、何だかそこまでしたら八千代さんや頼綱に、気合い入りすぎてるって思われそうで恥ずかしくて出来なくて。
サラサラになる汗拭きシート、持っておいて良かった!
選んだワンピはウエストがヒモでキュッと締められる様になっているデザインだから、思いのほかスタイルがよく見える。
それに、何よりスカート丈が短か過ぎなくて、清楚な感じに見えるのがいい。
「これにしようかな」
迷いを乗せて鏡の前でクルクルと回っていたら、八千代さんがノックをして部屋の前に立つ気配。
「はぁ〜い。どうぞ」
私の声に扉を開けた八千代さんと、鏡越しに目が合って。
「花々里さん、とってもお似合いでございますよ」
と、八千代さんがすぐさま太鼓判を押してくださった。
頼綱のことを熟知していらっしゃる八千代さんがOKを出してくださったなら安心だ。
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