30.私にぴったりの?

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「じゃあ、これにしますっ」  ここ数週間、いつもなら帰宅するなり机に齧り付くのが日課になっていた私だけれど、今日は……今日だけは特別。 「頼綱(よりつな)坊っちゃまとのデート、久々でございますね」  ニコニコと微笑まれて、私はにわかに照れてしまう。  何も言わなくても八千代さんは全部お見通しなんだって思ったらくすぐったくて居た堪れない気持ちになる。  や〜ん。恥ずかしいっ。  そう(もだ)えながら照れ臭く思う反面、だからこそ話が通りやすくていいと言うのもあって。 「あ、あのっ。八千代さんっ。よ、頼綱との久しぶりのお出かけなので……その……か、髪っ。えっと……編み込みとかして頂きたいなって思ったりしたんですが……お願い出来ますか?」  帰宅後、部屋へ来て頂きたいとお願いした理由は、正にそれ。  私は不器用で、頼綱にもらったバレッタで横髪を掻き上げてハーフアップにすることはできても、可愛らしく編み込んだりすることは出来ないから。  今日ぐらい、ちょっとだけ背伸びしてみたいなって思ったの。 「もちろんでございます」  にっこり笑った八千代さんが、鏡の前に腰掛けるように目線でうながしてきて。  私はいそいそと八千代さんの前に座った。 ✽+†+✽――✽+†+✽――✽+†+✽―― --------------------- いつもご愛読ありがとうございます! 皆様のおかげで『そろくい』、4万スター達成しました! https://estar.jp/page/info/congratulations/star/25558279?star=40000 大したものではありませんが、昨日、お礼の短編を書き下ろしてupましたので、もし宜しければ❤️ https://estar.jp/extra_novels/25859011 a076d723-91b5-4b0e-80a6-702a0e7167e5 本編に☆1で解放されます。 2400文字にも満たない短いお話です(人´Д`*).+゚. 既に読んでくださった皆様、有難うございます! --------------------- ✽+†+✽――✽+†+✽――✽+†+✽――
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