30.私にぴったりの?

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 その期待に満ちた目に、私はこれ以上なんのがしてあるのぉ〜!?とドキドキが止まらない。  指輪をグルグル回して頼綱(よりつな)の言う〝もうひとつ〟を探して――。 「……ん?」  何これ。  「Bon appetite! Kagari」の文字の後にちょっぴり距離を空けてハートがふたつ、蝶の羽根みたいに並んでいるのに気が付いた私は「ハート?」とつぶやいた。 「気がついたかね? それを(そっち)のリングと重ねてご覧?」  視線で(うなが)されて、頼綱のリングを手に取って内側を見たら、彼のリングにも〝K to Y〟と今日の日付の刻印とともに、同じようにハートがふたつ並んでいて。  それを私のと合わせたら。 「四つ葉の……クローバー?」  今も私の耳に揺れるクローバーデザインのイヤリングを思い出して、私はこんなところにもクローバー?ってびっくりした。 「重ねたら現れるデザインっていうのが、ペアって感じがして良いだろう?」  リングを手にした私の手ごと、頼綱の大きな手がそっと包み込んできて、その温かさにトクンッと心臓が跳ねた。 「頼綱……」  嬉しさが込み上げるあまり何て言っていいのか分からなくて、彼の名をポツンと口の端に乗せた私の耳に、頼綱が唇を寄せてささやいてくる。
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