31.私の本心、分かってますか?

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 離れは、私たちがいつも出入りしている車庫近くの門とは別の門を有しているのもあって、近くにいるはずなのにお母さんの行動がほとんど見えないと言うのが実際のところ。  娘としては無理しがちなお母さんのことが心配でたまらないのに、お母さんは心配自体をして欲しくないというスタンスを貫くの。  頼綱(よりつな)は、「今までずっとひとりで花々里(わたし)を育ててきた分、少し羽を伸ばされたいんじゃないかな?」って言うんだけど……そんなものなの? 「でも……」  何を言われてもどうしても納得がいかなくてうにゃうにゃと言い募る私に、「花々里(かがり)が幸せでいてくれると思えるから、お母さんもキミを突っぱねることが出来るんじゃないのかね?」って頭をポンポンと(はた)かれた。 「お母さん……私やっぱり……」  それでもどうしても不安が拭えなくて、数日後ひとりで離れに出向いて眉根を寄せた私を、お母さんはなだめるように撫でながら、「花々里(かがり)ちゃんが今一番気にしないといけないのは編入試験のことでしょう? それに受からないと頼綱くんも困るのよね? 私も、ご縁があった御神本(みきもと)レディースクリニックから産科がなくなるの、寂しいんだけどな?」と(いさ)めてくるの。 「お母さんね、花々里(かがり)ちゃんが大学を辞めてまで頼綱くんに寄り添いたいって言ってくれた時、実はすごくすごく嬉しかったのよ?」  私を突き放すように拒絶したのと同じ口で、そう言って私を抱きしめると、お母さんがつぶやくように続けた。
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