31.私の本心、分かってますか?

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*** 「花々里(かがり)、編入試験合格おめでとう」  幼馴染みの小町(こまち)ちゃんが、私が在籍していた文学部の3年生に進級した春、約1年の猛勉強の末、無事編入試験に合格して頼綱(よりつな)の母校である夏ヶ丘医科大学に入り直した私は、家で八千代さんと頼綱とお母さんに盛大なお祝いをしてもらいました。  私、結局夏が丘大の文学部には1年の終わりまで在籍して、その年に取れる単位はみんな取得してから2年生になるタイミングで退学したの。  医科大の看護学科と文学部では学部が違いすぎて認められる単位数がすごく少なかったけれど、そこはもう4年間を費やす覚悟で1年生から臨むことに頼綱も了承してくれて……。  何より助産師は看護師の国家資格と、助産師の国家資格の両方を取得しなければいけないから、思ったより大変で、4年間でそれら2つに合格するのも至難の業なのだと知ったから。  先を考えると物凄く不安だけれど、ひとまず第一関門突破ということで、編入試験合格の知らせに舞い上がる気持ちの覚めやらぬまま、私はここ――頼綱(よりつな)の寝室――にいます。
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