31.私の本心、分かってますか?

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「こ、子どっ……!?」  頼綱(よりつな)の言動全てに反応するみたいに身体がぶわりと熱くなって、私はそれを誤魔化すみたいにコクコクとうなずいた。 「……やっぱり怖い?」  聞かれて、そんなの当たり前だよぅ、とギュッと頼綱にしがみついたら、 「そうか。――けど、ごめんね。さすがにもうこれ以上は待てそうにない。俺が全部リードするし、出来るだけ優しくするから……。だからお願い。花々里(かがり)の全てをに奪わせて?」  どこか懇願(こんがん)するみたいな口調で頼綱に請われて、私はそれだけで恥ずかしさに消え入りそうになる。  彼のプロポーズを受けた後、一向に手を出そうとしてくれない頼綱に、女性として見られていない気がして不安になったことがある。  結局は私が合格するまでは、という頼綱なりの願掛けだと分かったんだけど――。  いざこんな風に障害が取り払われて、伴侶として全力で求められると、どうしていいか分からなくなるとか……我ながら情けないっ。  恐る恐る頼綱を見上げて、往生際(おうじょうぎわ)悪く「ホントに……するの?」と躊躇(ためら)いがちに尋ねたら、頼綱が一瞬驚いたように瞳を見開いた。 「さっきからそう打診しているつもりだったんだがね。――もしかして通じてなかったの?」  クスッと笑われて、私はほんの少し肩の力が抜ける。
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