32.Epilogue

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 逆に頼綱(よりつな)の方はそこそこの人員が確保された中、交代制で勤務していた附属病院研修医時代より、生活が不規則で忙しくなった。  その中にあって、私の勉強まで見てくれて。  私は頼綱の超過密スケジュールを、すぐそばにいて肌で感じて。  頼綱が倒れてしまわないかすごくすごく心配でたまらなかったの。  それで、少しでも頼綱の負担を減らすため、絶対に最短で国家試験に合格しないと!って思わずにはいられなかった。  もし、資格を最短で取得出来なかったりしたら……頼綱を助けるどころか足を引っ張るばかりになってしまうもの。  そんなのは嫌だ!って、物凄く危機感を覚えたのを記憶しています。  在学時には勉強で分からないところは頼綱が。  夜遅くまで修学に勤しんでいたら八千代さんがお夜食でサポートを。  オマケのように、大学と家との往復以外ほぼ外出をしなかった私を、すっかり元気になったお母さんが「美味しいスイーツを見つけたから」と言っては「一緒に食べよう?」と母屋(おもや)まで遊びに来てくれる日々。  私、そんな感じでみんなに支えられて学問に打ち込めているんだって、痛感しまくりの4年間でした。  ――きっとそのお陰。  凡人な私にはすっごくすっごく大変だったけど、ちゃんと卒業する頃には欲しかった資格を得ることが出来て……。  これで晴れて頼綱の役に立てるんだ!って思ったら、それが嬉しくて嬉しくて堪らなかったの。
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