32.Epilogue

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***  私は頼綱(よりつな)との約束通り大学卒業と同時に御神本(みきもと)レディースクリニックに助産師として勤め始めた。  ちょうどその少し前頃だった。  頼綱が、病院の規模と病床数などを(かんが)みて、スタッフ数――特に医師と助産師――をもっと増やすべきだと院長先生に提案したのは。  旧態依然(きゅうたいいぜん)のままでは中にいる人間が潰れてしまう、自分は花々里(つま)と、両親(あなたたち)のような結末を迎える気はないのだと頼綱が説得を続けた結果、お義父(とう)さまも彼の言葉に耳を傾けて下さって。  結果、御神本(みきもと)レディースクリニックは、私が入る頃には医師が院長先生、頼綱、浅田先生、そして唯一の女性産科医である杉本先生の4人体制に。  助産師が松井さん、小野田さん、山本さん、梅田さん、後藤さん、私の6人に。  看護師が八尾さん、水木さん、下田さん、渡辺さん、竹本さん、野々村さん、岩村さん、山根さんの8人と、医療事務で受付担当の丸井さん、長谷川さんの2人という、そこそこのスタッフ数になっていた。  このメンバーは正規雇用の職員で、彼らとは別にパートや臨時職員といった雇用形態でサポートをしてくださる面々が他に数名いて。  全員でシフトを組んで、ひとりだけに負担がかかるようなことにはならないようになっていた。
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