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外部からスタッフをあんなに沢山入れるのなら、私、別に助産師にならなくてもよかったんじゃない?とか思ったりもして。
みんなからチヤホヤと手塩に掛けてもらった割に、あまり頼綱の助けになれていない気がして、実はちょっぴり意気消沈モード。
そんなことを思ってしょげていたのを頼綱が察してくれたのかどうかは分からない。
ある日用があって副院長室へ行ったら、まるで話のついでみたいに頼綱が私を呼び止めた。
「ねぇ花々里。キミがどう思っているかは分からないけれど、今こうしてキミと肩を並べて仕事ができること、私は心の底から誇りに思っているからね? ――実際、後ろ向きだった私の背中をキミが押してくれなかったら……きっとうちの病院に産科は残っていなかった。今の御神本レディースクリニックがあるのは花々里のお陰だ。キミには感謝してもし切れないよ」
仕事モードの顔をして、そのくせこの上なく甘い声音でそんな風に言ってもらえて。
単純だけど彼のその言動で、私、不安が一気に取り払われて、全部全部報われた気がしたの。
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