32.Epilogue

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「あとは――野菜スティックとかモグモグするのもありかも?」  何の気無しに言ったら、頼綱(よりつな)が瞳を見開いて。 「それはまた、肉食の花々里(かがり)にしては珍しくウサギみたいなことを言うね」  って笑うの。  に、肉食って! 確かにお肉もお魚も大好きだけど、私、お野菜も好きなのにっ。 「ウサギでも何でも構わないのよぅ。なるべく太りにくい食べ物をムシャムシャしたいのっ」  力説して眉根を寄せる私に、「〝Auberge(オーベルジュ) Vie de lapin(ヴィ・ドゥ・ラパン)〟に連れて行った時、キミが(ウサギ)より(ウナギ)がいいってのを思い出すよ」って頼綱が肩を震わせて。  羽の生えたうさぎ(ル・ラパン・エレ)というホテルでデートした時の話だ。 「べっ、別にゴネたりなんかしてないよ?」  唇をとんがらせて言ったら、「そうだっけね?」と意味深に視線を流される。
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