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「そんなに心配しなくても大丈夫だよ?」
ってクスクス笑いながら言ったら、
「俺が心配してるのは……子供のことももちろんだけど、1番は出産を控えた花々里のことだからね?」
って眉根を寄せられた。
こんな時まで私をドキドキさせてくれるとかっ。
うちの旦那様は溺愛が過ぎて困ります!
そう思いつつも照れながら「ありがとう」って言おうとしたら、頼綱が「今夜の当直は杉本先生だけど、もし日付がズレたらその限りではないと言うのが気になって仕方がないんだよ」とつぶやいて。
「えっ!? ちょっと待って、そっちなの!?」
1番に心配しているって言ってくれたから、私の身体のことかと思いきや、「それは言うまでもないことだろう?」らしい。
頼綱としては、私が臨月に入った辺りから、お産は院長先生や浅田先生には任せたくないという思いが強くなっていたみたいで。
「杉本先生が当直じゃない日にキミが産気づいたら……その時は誰がなんと言おうと僕が取り上げる。それだけは了承しておいておくれね?」
至極真剣な顔をしてそんなことを言ってくる頼綱に、私は小さく吐息を落とした。
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