32.Epilogue

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*** 「ただいま。――おや? やけにいい香りがしてるけど2人で何をしてるのかね?」  八千代さんが買ってきてくださった(うなぎ)蒲焼(かばや)きを、フッ素加工されたトースタープレートにアルミホイルを敷いて載せると、お酒を少量振ってふわっと包み込む。  それをオーブントースターに入れてスイッチを3分程回したところで、頼綱(よりつな)がキッチンに顔を出した。  久々の鰻にテンション駄々上がりで、頼綱の帰宅に気付けなかった私は、その気まずさを誤魔化すように「今ね、戦飯(いくさめし)を用意してるのよ♥」と、私の手元を覗き込んでくる頼綱に微笑んだ。 「いくさめし……?」  キョトンとする頼綱に、「ほら、頼綱にも手伝ってもらうんだから。手、洗ってきて?」と視線で彼を洗面所へ(うなが)す。  八千代さんはそんな私達の横、大葉を細かく千切りにして、適量の白胡麻とともにボールに取り分けた炊き立てのご飯に混ぜ込んでいらして。  私、鰻の蒲焼きしか頼まなかったのに、さすがです、八千代さん!  大葉と胡麻の香りがふんわり鼻腔(びこう)をくすぐって、私は「美味しそう!」ってニンマリする。
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