■スタ特①『羽の生えたうさぎ』

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「こっ、こんなお嬢様でござーいな服、私には無理っ」  手渡された包みを開いてそのワンピースと対面したとき、私、そう言って固辞しようとしたのだけれど。 「それを着ればディナーに美味しいものが食べられるよ?」  って言われたら頑張るしかないって気になって。  一緒に添えられていた黒いパンプスに足を通してみたらサイズがピッタリだった時にはちょっぴり怖かった。  そういえばワンピースもジャストサイズだったし、何、頼綱(よりつな)の目、スケールか何かなの?  でもいくらサイズが合っていても、やっぱり靴はいつもの履き慣れた、こなれたローファーなどがいい。  たかだか3センチ足らずのヒールでも、私にはしんどくて。  結果、頼綱にギュッとしがみつかないとスムーズに歩けないとか。  ほら、日頃からヒールなんて履かないんだから仕方ないじゃないっ。  でも何だかそれさえも頼綱の計算通りな気がして悔しくて。
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