2663人が本棚に入れています
本棚に追加
/703ページ
「鰻はフランス語ではanguilleだよ。なに? 兎で鰻でも連想したのかい?」
しかもバレてるしっ!
「そ、そんなこと……なっ」
ない!と断言できなくてしどろもどろになる私を見て頼綱がにやりと微笑むの。
「もちろん櫃まぶしや肝吸いの約束も忘れていないから安心して?」
私は頼綱のその言葉に瞳を輝かせた。
「ヴィ・ドゥ・アンギーユ!」
勢いこんで店名を文字ってかっこよく言ってみたら、「なに? 花々里は鰻生活したいの? うーん。俺も鰻は嫌いじゃないけど……さすがに毎日は嫌なんだけどね?」と苦笑されてしまった。
通りでずいぶん前、2日連続で鰻食べたいって要求したら却下されたわけです。
代わりに食べさせてもらったものも美味しかったけど、頼綱の意地悪っ!って思ったのも事実。
その反応に、いっそお庭の池の錦鯉を鰻に入れ替えてみませんか?と言う提案は、何とか寸でのところで飲み込んだ。
最初のコメントを投稿しよう!