■スタ特①『羽の生えたうさぎ』

23/29

2662人が本棚に入れています
本棚に追加
/703ページ
「シャンパンのにおいを嗅いだだけで倒れるとか……一体誰が想像できる? キミは鼻からも飲み食いできる特殊体質か何かなのかい?」  水の入ったグラスを差し出されて、ベッドの上にぼんやりした頭で座ったまま、それを受け取って。  促されるままにひと口飲んでから「え?」と思う。 「頼綱(よりつな)、今なんて……?」 「キミはシャンパンの香りを嗅いだ途端倒れたんだよ。覚えてない?」  うそ……。  全然覚えてないっ! 「頼綱、ごめんっ! ご飯、食べ損ねちゃったよね!?」  あーん、残念!と眉根を寄せて言ったら、瞳を見開かれてしまった。 「………花々里(かがり)。気にするのはそこなのかい?」  溜め息混じりに言われて、 「知らない間にホテルの部屋に連れ込まれて、ベッドで目が覚めたんだよ、キミは。――気を失っている間に色々されてるかもしれない、とか思わないの?」  真剣な目で見つめられた。
/703ページ

最初のコメントを投稿しよう!

2662人が本棚に入れています
本棚に追加