■スタ特①『羽の生えたうさぎ』

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 その言葉に着衣を見たけれど、そんなに乱れてない。  強いて言えば、一番上のボタンとコサージュ付きタイが緩められてることくらい。  でもこれ、気絶したことを思えば処置としては許容範囲内……だよ、ね? 「よ、頼綱(よりつな)はそんなことしないものっ」  それを直しながらそう言ったら、小さく微笑まれた。  その笑顔がすごくかっこよくて、今更のように「ホテルの部屋に異性(よりつな)とふたりきり」と言う言葉が頭をぐるぐる回り始める。 「まぁそれはそうだけど。キミは何故そう思うの?」  ベッドに腰掛けてきた頼綱に、あごをすくい上げられる。  いやん! 変にドキドキするからやめてっ。   「よっ、頼綱はっ。私が怒ったり慌てたりする反応を見るのを、た、楽しむタイプだもの。意識のない私じゃ、面白く感じないはずだわっ!」  ソワソワしながらしどろもどろに言ったら、ニヤリと微笑(わら)われた。 「よく分かってるね、花々里(かがり)。そう、こんな風に、ね……」  言って、親指の腹で唇をなぞられて、小さく()り開かされる。  頼綱の指先が歯列に触れたのが分かって、身体に力が入ってしまう。 「が何かするたび、キミが過剰なくらい反応してくれるのを見るのが、はたまらなく好きなんだ。――その先の反応が知りたくて、ゾクゾクする」
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