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その言葉に着衣を見たけれど、そんなに乱れてない。
強いて言えば、一番上のボタンとコサージュ付きタイが緩められてることくらい。
でもこれ、気絶したことを思えば処置としては許容範囲内……だよ、ね?
「よ、頼綱はそんなことしないものっ」
それを直しながらそう言ったら、小さく微笑まれた。
その笑顔がすごくかっこよくて、今更のように「ホテルの部屋に異性とふたりきり」と言う言葉が頭をぐるぐる回り始める。
「まぁそれはそうだけど。キミは何故そう思うの?」
ベッドに腰掛けてきた頼綱に、あごをすくい上げられる。
いやん! 変にドキドキするからやめてっ。
「よっ、頼綱はっ。私が怒ったり慌てたりする反応を見るのを、た、楽しむタイプだもの。意識のない私じゃ、面白く感じないはずだわっ!」
ソワソワしながらしどろもどろに言ったら、ニヤリと微笑われた。
「よく分かってるね、花々里。そう、こんな風に、ね……」
言って、親指の腹で唇をなぞられて、小さく破り開かされる。
頼綱の指先が歯列に触れたのが分かって、身体に力が入ってしまう。
「俺が何かするたび、キミが過剰なくらい反応してくれるのを見るのが、僕はたまらなく好きなんだ。――その先の反応が知りたくて、ゾクゾクする」
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