■スタ特①『羽の生えたうさぎ』

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「あ! 私、あれ、食べたいっ!」  唇に触れる頼綱(よりつな)の手を今だ!とばかりに自分から引き剥がすと、私はビシッ!とテーブルのほうを指差した。 「その先の反応は、それで決まり!」  自信満々にそう言ったら、頼綱が大きく瞳を見開いて……。  すぐにふっと表情を(やわ)らげて微笑むの。 「もう見つけてしまったか。さすが俺の可愛い子犬ちゃんだね」  ぽんぽんと私の頭を撫でてからベッドサイドに降り立つと、頼綱が私を見下ろしながら「ところで気分はもういいの?」と聞いてくる。  いいも何も……。そもそもお酒、飲んでないからね? 「気分は悪くないけど……お腹が空きすぎて倒れそうです……」  言ったら、「実にキミらしいね」と破顔一笑するの。   「ふ、普通だよ?」  だって考えてみて?  私たちまだレストランで飲み物しか飲んでないのよ?  それもたった一口だけ。  部屋にかかった壁掛け時計――12の上で白うさぎがティーカップを手にした飾り(オブジェ)が付いているすっごく可愛い時計!――を見やると、時刻は20時を過ぎていて。  いつもならとっくに晩御飯を食べてる時間、過ぎてるんだもん。
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