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「あ! 私、あれ、食べたいっ!」
唇に触れる頼綱の手を今だ!とばかりに自分から引き剥がすと、私はビシッ!とテーブルのほうを指差した。
「その先の反応は、それで決まり!」
自信満々にそう言ったら、頼綱が大きく瞳を見開いて……。
すぐにふっと表情を和らげて微笑むの。
「もう見つけてしまったか。さすが俺の可愛い子犬ちゃんだね」
ぽんぽんと私の頭を撫でてからベッドサイドに降り立つと、頼綱が私を見下ろしながら「ところで気分はもういいの?」と聞いてくる。
いいも何も……。そもそもお酒、飲んでないからね?
「気分は悪くないけど……お腹が空きすぎて倒れそうです……」
言ったら、「実にキミらしいね」と破顔一笑するの。
「ふ、普通だよ?」
だって考えてみて?
私たちまだレストランで飲み物しか飲んでないのよ?
それもたった一口だけ。
部屋にかかった壁掛け時計――12の上で白うさぎがティーカップを手にした飾りが付いているすっごく可愛い時計!――を見やると、時刻は20時を過ぎていて。
いつもならとっくに晩御飯を食べてる時間、過ぎてるんだもん。
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