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「お店に頼んで、コースは部屋でとらせてもらうことにしたんだ。――構わないだろう?」
頼綱に問いかけられて、美味しく食べられるなら、場所なんてどこでもいいです!って思った私。
ニコニコしながら「うんうん」とうなずいたら、「じゃあ、こっちにおいで」って手を差し伸べられて。
私は恐る恐るその手を握ったの。
***
テーブルの上にはさっきレストランで見た前菜――鶏むね肉のテリーヌ――のほかに、芽キャベツやラディッシュ、ミニトマト、カブなどがふんだんに使われた野菜のマリネもあって。
その見事な野菜だらけっぷりに、さすがウサギ生活!とか妙に感心したりしたの。
さっき飲み損ねてしまったシャンメリーとシャンパンも、ステンレス製のシャンパンクーラーに入って、新しいボトルで届けられていた。
「花々里、お願いだから……もうシャンパンは嗅がないでおくれね?」
私がそれに視線を注いでいるのに気付いた頼綱が、いち早くそう牽制してくる。
私だってまた倒れてご馳走が食べられなくなるのは懲り懲りだもの。
「同じ轍は踏みません!」
美味しいものがかかっているときは特に。
心の中でそっと付け加えたら「まぁ、花々里だもんね。ご馳走をみすみす逃すような危ない橋は2度も渡らないか」ってニヤリとするの。
くっ、悔しいけど……図星です。
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